銀歯の下で虫歯が再発する?
虫歯の治療には、「銀歯」と呼ばれる金属製の詰め物や被せ物が使われますが実際には、虫歯の再発など、多くのリスクがあることは明らかになってきています。
今回は、銀歯下で虫歯が再発する原因とその治療法について解説していきます。
また銀歯のメリット・デメリットと、銀歯以外にどのような治療法があるのかもあわせて学んでいただければと思います。
銀歯の下に虫歯ができる5つの理由
1:錆びた銀歯
銀歯が錆びると、歯と歯の間に隙間ができ、その下に虫歯ができてしまいます。
口の中は、酸やアルカリ、暑い、寒いなどの過酷な環境にさらされています。
金だけであれば、そのような環境下でも変化しませんが、保険の銀歯には金が12%しか含まれておらず、ほとんどが銀とパラジウムです。
その結果、銀歯が酸化して、その下に虫歯ができやすくなります。
2:セメントが溶けている
銀歯は歯にセメントを使ってくっつきます。
お口の中の環境によっては、セメントが徐々に溶けて隙間ができ、銀歯の下に虫歯ができてしまいます。
そのため、セメントの厚みを減らすためには、できるだけ正確に処理することが重要です。
3:新しい虫歯ができた
銀歯のある歯は、以前に虫歯になった歯の一部です。
銀歯との境目には、歯垢が残りやすく、虫歯になりやすい段差があります。
お口の中の環境が以前と同じだと、歯と金属の隙間に虫歯ができたり、金属の下に虫歯が広がったりします。
4:銀歯は虫歯になってもくっついたままである
すぐに銀歯が抜けないように歯科医師が歯を削る必要があります。
そのため、歯の一部が虫歯になっても、銀歯が抜けず、銀歯の下で虫歯が広がっていきます。
銀歯を失った時には、虫歯は非常に大きなものになっていることが非常に多いです。
5:治療時に虫歯が残っている
歯医者の技術が未熟で虫歯を取り残していると、銀歯の下で虫歯が広がってしまいます。
近年、軟化した部分に虫歯を残して再生させる虫歯治療がありますが、これではすべての虫歯を除去できない可能性があります。
この場合、再診が必要となりますので、どのような治療を受けたのかを前の歯科医師に聞く必要があります。
治療後の虫歯の予防法
1:虫歯にならない環境づくり
虫歯ができて治療しても、同じ口の中の環境であれば、同じ場所に再び虫歯ができてしまうことがあります。
歯はもろく、削れば削るほど寿命が短くなります。
お口の中に虫歯ができない環境を作り、新たな虫歯を予防することが大切です。
毎日の歯磨きとデンタルフロスは必ず行ってください。
2.定期的なメンテナンス
銀歯と歯の間の隙間には段差があり、虫歯になりやすい部分でもあります。
毎日の歯磨きは最も重要ですが、歯垢を放置して長い間気づかないでいると、虫歯が悪化してしまいます。
歯科医による定期的なクリーニングは、磨き残しや歯ブラシでは取り除けない硬い歯垢を取り除くことで、虫歯を予防することができます。
3:セラミック治療
セラミックは、劣化や汚れがつきにくい素材です。
また、使用されている接着剤は劣化しにくく、歯やセラミックとの密着性が高いものを使用しています。
そのため、セラミックの下では虫歯が広がらず、長期間使用することができます。
4:歯石や歯垢を放置しない
銀歯を治療しても、歯茎が腫れていたり、歯石がついていたりすると、精度の悪い銀歯ができてしまいます。
歯を削ったり、形を整えたりするときは、丈夫で健康な歯茎の状態で治療を行わなければなりません。
5:確実な治療をしてくれる歯科医院で治療を受ける
歯医者さんには様々な種類があります。
歯医者さんの選び方次第で、結局歯を失ってしまうのか、一生自分の歯で食べられるようになるのか変わってきます。
自分の大切な歯を守るために一緒に考えてくれる歯科医を選びましょう。
銀歯の交換時期
1:レントゲンで明らかに虫歯になっている場合
銀歯の場合、約4~5年で銀とセメントが劣化し、銀歯と虫歯の間に隙間ができてしまうことが多いです。
しかし、その都度取り外して銀歯に交換しても、同じことが繰り返されます。
そのため、レントゲンで虫歯がはっきりと確認できる場合は再治療が必要となります。
2:セラミックスで処理する場合
銀歯をセラミックで治療する場合は、できるだけ早く治療した方がいいです。
セラミックに置き換えると、セラミックの下では虫歯が進行しにくくなります。
そのため、虫歯が進行してからセラミックを交換するのではなく、進行する前に交換した方が良いのです。
もちろん、セラミックであっても、お口の中の環境が悪ければ、虫歯の原因になります。
銀歯のメリット・デメリット
詰め物やかぶせ物に使われる銀歯には、長所と短所があります。
銀歯のメリット
保険に入っていて安い
銀歯には保険診療が適用されます。
その結果、セラミックなどの素材を使った自由診療に比べて低コストで歯を入れることができます。
詰め物は2,500~3,000円、被せ物は3,500~4,000円です。
金属の高い耐久性
銀歯は金属なので、セラミックに比べて耐久性が高いです。
強く噛みしめても壊れません。 噛み合わせが強く、負荷がかかりそうな部分の治療に適しています。
銀歯のデメリット
虫歯の再発リスク
銀歯の詰め物は、時間の経過とともに劣化し、すり減っていきます。
金属なので、噛む力で曲がったり、熱で伸縮したりすることがあります。
その結果、銀歯と銀歯の間に隙間ができ、虫歯菌が入り込み、銀歯の下の歯が虫歯になってしまうのです。
金属が溶けて歯ぐきが黒くなることがあります。
銀歯の金属では、唾液が金属イオンを溶かし、歯の根元の歯茎が黒くなることがあります。
金属アレルギーの可能性
唾液に溶けた金属イオンが体内に入ることで、アレルギー反応(歯科金属アレルギー)が起こることがあります。
口内炎や舌の炎症などの口腔内の症状に加え、血行不良により全身に発疹などの症状が現れることがあります。
表面に傷や汚れがつきやすい
銀製の歯科用金属は、傷がつきやすいという特徴があります。
長時間使用していると、たくさんの小さな傷に食べかすや歯垢がたまり、虫歯や口臭の原因になることがあります。
銀歯が使わない治療
銀歯を使うことのリスクが見直され、金属以外の素材を使って虫歯を治療するケースが増えています。
セラミックスやプラスチックを使った治療は、金属を使うことによるリスクを回避し、審美性にも優れているため、白い歯を手に入れることができます。
セラミック素材の使用
セラミックの強度に優れ、経年劣化しにくい、咬合変形が少ない、熱による膨張収縮変形が少ない、歯と歯の間の隙間が少ない、虫歯再発のリスクが少ないなどの特徴があります。 変色もほとんどなく、金属ではないので歯茎の黒ずみや金属アレルギーの心配もありません。
また、セラミックは表面が硬いので傷がつきにくく、汚れが付着しにくい性質を持っているので、きれいな状態を長く保つことができます。
しかし、セラミックは天然歯よりも硬いため、噛む歯に負担がかかります。
歯を強く噛んだり削ったりする癖があると、無理をして歯が欠けたり折れたりすることがあります。
コンポジットレジン
白い歯というと自由診療のイメージがありますが、保険診療の一つとしてコンポジットレジン充填というプラスチック素材を使用した治療があります。
削った穴にペースト状のプラスチックを流し込み、特殊な光で固める治療法です。
保険適用で安く、治療期間も短いので、患者さんの負担が少ないです。
一方で、樹脂は強度が低く、長年使用していると摩耗や破損のリスクが高まります。
また、4~5年後には変色しやすく、黄色くなってしまうというデメリットもあります。
硬質レジン
金属の表面にプラスチック樹脂を配置して白くする被せものです。
こちらも保険適用できるため、前歯を目立たせたくない銀歯の方が利用されることがあります。
内側は金属なので耐久性はありますが、歯茎の黒ずみや金属アレルギーの可能性もあります。
CAD/CAM クラウン
CAD/CAMクラウンは近年保険適用になりました。
3Dカメラで治療部位をスキャンし、コンピューターで被せ物を作成します。
保険が適用され、比較的安価で、治療期間も短く、金属を使用していないので、歯茎の黒ずみや金属アレルギーの心配もありません。
しかし、保険適用できる歯が前歯や周囲の歯の状態に条件があります。
使用する素材(セラミックとプラスチックの混合物)が弱い、強い歯ぎしりや食いしばりの癖があるなどの条件がある場合は、カバーが簡単に外れたり壊れたりするというデメリットがあります。
患者さんのお口の中の状態によっては、お勧めできない場合もあります。
ご希望の方は、詳細な診断をさせていただき治療法を提案致します。
まとめ
銀歯を入れた部分に長時間痛みがあったり、何か冷たい出血を感じたりする場合は、虫歯が再発している可能性があります。
歯科医院では、既存の銀歯を外して、詰め物や被せ物を交換することができます。
歯科医院での定期検診や口腔ケアをいつでも受けられます。
また、お口の健康や長期的なコストを考えると、銀歯以外の選択肢も検討したいという方は、ご質問があればお気軽にご相談ください。