当院では5年前の開業時から様々な方法のひとつに抗菌剤による歯髄保存法を取り入れております。
まず、抗菌剤による歯髄保存法とは抗菌剤を虫歯(主に虫歯菌に感染した象牙質)に塗布します。この方法により、今までは神経の近くまで進んだ虫歯に麻酔をして神経を取って治療する根管治療が一般的でしたが、神経をとらないですむ、神経保存治療が可能です。
MTA を用いた直接覆髄法(大きい虫歯から神経を保存する治療)
何とか神経を保存させたい方へ
2007年4月より認可のおりたPRO ROOT MTA(ケイ酸カルシウム)。この薬は今までの材料(水酸化カルシュウム)に比べ、生体親和性・封鎖性・抗菌性に優れ、新生硬組織形成を伴う治癒形態で神経を残せる確率が上がった優れた材料です。今まで神経を取らなければならなかったケースも、この材料を用いることで症例を選べば神経を保存することができるようになりました。
※適応症の範囲は狭いですが、神経が残ればこれほど大きな費用対効果が望めるものはありません。
虫歯が深い場合でも歯の神経が残る可能性がある場合は、麻酔した後に丁寧に虫歯を除去する治療を行い、歯の神経の保存療法を行います。虫歯はう蝕原生菌が歯の内部に「虫歯菌の巣」を作っている状態ですから、取り残しがあると、歯髄炎を起こしてしまいます。
そこで、う蝕検知液を使用し、虫歯を染色しながら除去したり、カリソルブという特殊な薬品で消毒しながら除去したりします。虫歯とその周囲の象牙細管(歯の象牙質を走行する毛細血管のようなもの)の内部まで完全に滅菌します。その後に強アルカリ性の裏層剤を貼付して、温かい冷たい刺激から神経を守り、消毒し、第2象牙質の形成を促進させます。虫歯の直下に第2象牙質が形成されると、神経への刺激も少なくなり、長期的な神経の保存が可能になります。
このように歯科医はなるべく、「歯を生きている」状態で保存するための努力を行いますが、残念ながら神経を残すための治療は百発百中ではありません。深い虫歯は歯の神経まで及んでいなくても、象牙細管を伝わって、神経が感染していることがあるからです。 このような場合、治療して1週間から1カ月以内に痛みを覚えることが大半です。自発痛が出た場合、神経を抜くことになりますが、まずは神経を残す努力を行うことが1番です。
虫歯を除去する際、タービン(キュイーンと音をたてる道具)で削ってしまうと健康な歯質まで大きく除去するので、すぐに神経まで到達してしまいます。神経を保存する為には、時間と、0.1mm単位の繊細な技術が必要とされ、1本の直接覆髄に1時間を要します。
虫歯をとったが、神経が露出しています。
顕微鏡を使用するとこのように確認できます。
MTAを神経が露出したところをシールします。
フロアブルレジン(流動性のあるプラスチック)を層状に盛っていき、神経+MTAの保護、歯の補強を行い終了です。
次回、元の大きさと同じ詰め物(セラミック、 ハイブリッド、ゴールド)を作っていきます。
※健康な部分の歯質は殆ど削りません。
※MTAは保険の利くものではありませんので自費治療になります。
治療費 : 30,000 円
感染した虫歯を削り患部を露出させます。
患部に抗菌剤、又は抗菌剤と抗生剤を塗布します。
その後セメントにて封鎖します。
この治療を数回繰り返し患部の治癒を待ちます。
患部に虫歯菌がいなくなったことを確認しコンポジットレジン又銀歯にて保存治療を行います。
参考著書:抗菌剤による新しい歯髄保存法(著 岩久正明 星野悦郎 子田正一)
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ここまでお読みになっている方は、きっと歯のことで悩まれていることと思います。当院では、画一的な治療ではなく、あなたの口の状態、お悩み、要望に合わせた治療を行います。
初診時にはしっかりとお話も聞かせていただきますので、まずは気軽にご来院下さい。