こんにちは。埼玉県富士見市ふじみ野にある歯医者「榎本デンタルクリニック」です。
銀歯の治療後、お口の中が金属のような変な味がしたり、歯が「キーン」と痛んだりすることがあります。この原因は、お口の中にある銀歯によってガルバニー電流が発生しているのかもしれません。
ガルバニー電流を放置すると、お口の中に変な味がするだけでなく、金属アレルギーを発症するリスクや自律神経の乱れなど、全身の不調につながる場合があります。
そこでこの記事では、銀歯を入れたあとに変な味がする原因であるガルバニー電流について解説します。ガルバニー電流のリスクや対策法についても言及していますので、ぜひ参考にしてください。
銀歯を入れたあとに変な味がするのはなぜ?
歯科治療で詰め物や被せ物に銀歯を入れた後、変な味がするようになることがあります。
銀歯以外にも、チョコなどの包み紙やスプーンなどの金属を誤って噛んだ時に、金属特有の変な味がしたり「キーン」と歯が痛んだりしたことが一度はあるのではないでしょうか。
この原因は、お口の中の金属と金属が触れ合うことで「ガルバニー電流」が発生するからです。
ガルバニー電流が発生すると、お口の中に電流が流れることで歯が「キーン」と痛むだけでなく、銀歯に含まれる金属イオンが唾液に溶け出します。
金属イオンが溶け出すと銀歯が腐食し、金属のような変な味がするようになるのです。
ガルバニー電流とは?
ガルバニー電流とは、異なる素材同士の金属が触れ合うことで電流が発生することです。例えば、銀歯と金歯などの異なる素材同士の金属が噛み合うことで、変な味がしたり歯が痛んだりすることがあります。
また、お口の中は唾液があることによって電流の伝導性が高いため、お口の中にある詰め物や被せ物が銀歯の1種類であっても、ガルバニー電流が発生することがあります。
保険の銀歯には金銀パラジウム合金という素材が使われていますが、治療の時期によって銀歯の種類や成分が変わることがあるため、同じ歯科医院で治療をしても銀歯が原因で変な味がすることがあるのです。
ガルバニー電流はお口の中に金属があることで発生するため、お口の中に金属がなければ発生しません。銀歯の治療後に変な味がしたり歯が痛んだりするようであれば、銀歯によるガルバニー電流が原因だと考えられます。
ガルバニー電流にはさまざまなリスクがあるため、銀歯を入れたあとに変な味がする場合はなるべく早く歯科医師に相談するのがよいでしょう。
どのようなときにガルバニー電流が流れる?
お口の中にある異なる素材同士の金属が触れ合うことで、ガルバニー電流は発生します。
具体的には、以下のような場合にガルバニー電流が発生するといわれています。
- 異なった金属の詰め物や被せ物が噛み合う時
- 異なった金属の詰め物や被せ物が隣同士で触れ合う時
- 唾液を介して銀歯などの金属が触れ合う時
- 銀歯の治療直後
ガルバニー電流は、異なる素材の金属が触れ合うことで発生します。例えば、上の歯が銀歯、下の歯が金歯の場合、異なった金属が触れ合うことでガルバニー電流が発生し、変な味がすることがあるでしょう。
また、上下の歯で触れ合わなくても、隣り合った2本の歯に異なった素材の詰め物や被せ物が入っている場合にも症状が出る場合があります。他にも、お口の中で金属同士が直接触れ合わなくても、唾液を介して金属が触れることでガルバニー電流が発生することもあります。
上下の歯で噛み合った時に「キーン」と痛む場合やお口の中が変な味がする場合は、銀歯が原因かもしれません。ガルバニー電流が発生しているということは、銀歯に含まれる金属イオンが溶け出しているということであり、さまざまなリスクが考えられます。
そのため、銀歯の治療後に変な味がするようになった場合は、なるべく早く歯科医師に相談するのがよいでしょう。
ガルバニー電流が流れるとどのようなリスクがある?
お口の中の銀歯が原因でガルバニー電流が発生すると、銀歯に含まれる金属イオンが溶け出します。この金属イオンがお口の中に広がることで変な味がすることがありますが、他にもさまざまなリスクが考えられるため注意が必要です。
ここでは、ガルバニー電流が発生することによる3つのリスクを解説します。
金属アレルギーのリスク
銀歯の治療後は問題なくても、銀歯が長期間唾液にさらされることで金属イオンが溶け出すことがあります。お口の中に金属イオンが溶け出すと、唾液とともに徐々に金属イオンが体内に蓄積され、金属アレルギーを引き起こすことがあります。
歯科治療ではさまざまな金属が使用されますが、特に保険の銀歯は金属イオンが溶け出しやすい素材です。銀歯が原因で金属アレルギーが起こると、銀歯の周りに症状が出る場合と金属イオンが吸収されることで全身に症状が出る場合があります。
銀歯が原因で起こる金属アレルギーの主な症状は、以下の通りです。
- 銀歯の周りが腫れる
- 口内炎が頻繫にできる
- 唇が腫れる
- 舌の炎症
- 手足のかゆみや発疹
- 手の平や足の裏に水ぶくれ
- 頭痛・肩こり・めまい
銀歯が原因で金属アレルギーを引き起こした場合、銀歯の周りが赤く腫れたりお口の中に口内炎が頻繫にできたりと、銀歯の周りやお口の中に症状が出ることがほとんどです。
しかし、溶け出した金属イオンを唾液とともに長期間吸収すると、金属イオンが体内を巡り、お口の中だけでなくさまざまな体調不良を引き起こすこともあります。例えば、手足にかゆみや発疹ができたり、手のひらや足の裏に水ぶくれができたりします。
また、頭痛や肩こり、めまいなど、一見金属アレルギーが原因とは気づきにくい症状が出ることもあるでしょう。
今は金属アレルギーになっていなくても、いつか銀歯が原因で金属アレルギーを引き起こすかもしれません。そのため、金属アレルギーが心配な方や体の不調がある場合は、銀歯以外の選択肢を検討するのがよいでしょう。
自律神経の乱れ
ガルバニー電流は微弱な電流といわれていますが、私たちの体は微弱な電流でも影響を受けやすいといわれています。
そのため、銀歯が原因で自律神経が乱れ、倦怠感や頭痛、肩こり、めまい、不眠、イライラなど、一見銀歯が原因とはわからないような症状が出ることがあります。「何が原因かはわからないが、なんとなく体の調子が悪い」などの場合、銀歯が原因かもしれません。
そのため、銀歯治療後に変な味がする場合は、一度歯科医師の診察を受けるとよいでしょう。
虫歯の再発
銀歯が原因でガルバニー電流が発生すると、金属イオンが溶け出して銀歯や銀歯を接着するための接着剤などが劣化します。これにより、歯と銀歯の間に隙間ができ、そこに虫歯菌が侵入することで虫歯が再発することがあるため注意が必要です。
特に、被せ物の下で虫歯になると、外からは見えないため知らない間に虫歯が大きくなっていることも珍しくありません。また、銀歯は汚れを吸収しやすいという特徴もあるため、虫歯の再発リスクが高いのです。
そのため、歯を長持ちさせたい場合、銀歯ではなく金属を使用しないセラミックを検討するのがよいでしょう。
ガルバニー電流は対策できる?
ガルバニー電流は、お口の中に異なる金属があることで発生するものです。
そのため、以下の3つの対策を行うとよいでしょう。
金属を使用しない素材に変更する
お口の中に金属がなければガルバニー電流は発生しないため、銀歯から金属を使用しないものに変更するとよいでしょう。
金属を使用しない素材には、保険であればレジンやCAD/CAM冠、自費であればセラミックなどがあります。どの素材も金属を使用しないことで、歯と同じ白い詰め物や被せ物にできるのがメリットです。
しかし、保険が適用される素材は経年劣化によって欠けたり割れたりしやすいだけでなく、着色しやすいといわれています。
その点、セラミックは審美性に優れた素材のため、自分の歯のように美しい見た目のうえ、耐久性が高いことから丈夫で長持ちしやすいのがメリットです。また、汚れがつきにくいという特徴もあるため、虫歯の再発リスクは低いといわれています。
セラミックは見た目だけでなく機能性にも優れているため、見た目にこだわりたい方だけでなく、歯を長持ちさせたい方にも適しているかもしれません。
同じ素材の金属で統一する
基本的にガルバニー電流は、異なる素材同士の金属が触れ合うことで発生します。例えば、上の歯が保険の銀歯、下の歯が自費の金歯などの場合、金属の種類が違うため、ガルバニー電流のリスクが高くなるのです。
そのため、同じ金属で統一することでガルバニー電流を発生しにくくできるでしょう。
しかし、お口の中には常に唾液があることで電流の伝導性が高いため、お口の中に銀歯しかなくてもガルバニー電流が発生することがあります。
特に、保険の銀歯は金属イオンが溶け出しやすい素材のため、虫歯治療の際はゴールドやセラミックなどの素材を選択するとよいでしょう。
口腔内を清潔に保つ
お口の中に磨き残しが多いと、銀歯の劣化を早めることがあります。そのため、ガルバニー電流による銀歯の劣化を予防するためには、日頃からお口の中を清潔に保つことが大切です。
特に、銀歯は汚れを吸着しやすいため、銀歯と歯の間や、銀歯と歯茎の境目などを意識してよく磨くとよいでしょう。また、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどを使用し、できるだけ磨き残しを作らないようにすることが大切です。
まとめ
銀歯にした後に変な味がする原因は、お口の中の金属と金属が触れ合うことで「ガルバニー電流」が発生するからです。また、お口の中に微弱な電流が流れることで、歯が噛み合う時に「キーン」と痛むこともあります。
他にも、金属アレルギーや虫歯の再発リスク、自律神経の乱れなど、お口の中だけでなく全身の健康に影響を及ぼすことがあります。
これから虫歯治療をする方や今入れている銀歯にお悩みの方は、金属を使用しないセラミックを選択することでガルバニー電流の発生を防ぐことができるでしょう。
治療後の銀歯の変な味にお悩みの方やセラミック治療を検討している方は、埼玉県富士見市ふじみ野にある歯医者「榎本デンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。