こんにちは。埼玉県富士見市ふじみ野にある歯医者「榎本デンタルクリニック」です。
これまで、むし歯治療では金属の詰め物をする方法が一般的でした。
しかし、最近ではセラミックの歯を選ぶ方も増えています。セラミックは強度がありますが、強い力が加わると割れたり欠けたりする可能性があります。
歯ぎしりの癖があり、セラミックを選択しても問題ないのか不安に思っている方もいるのではないでしょうか。歯ぎしりは無意識にしている場合が多く、普段の食事でかかる力の何倍もの力が歯にかかるといわれています。
今回は、歯ぎしりの原因やセラミックに与える影響について解説します。歯ぎしりからセラミックを守る方法もご紹介するので、セラミックの歯を長くきれいな状態で維持するための参考にしてください。
歯ぎしりとは?
歯ぎしり(ブラキシズム)とは、上下の歯が必要ない場面で接触している状態のことです。寝ている時に起こるものは睡眠時ブラキシズム、目覚めている時におこるものは覚醒時ブラキシズムと分類されます。
歯ぎしりは、歯や顎に負担をかけ、歯周病や顎関節症のリスクを高めることがわかっています。
歯ぎしりはグラインディング、クレンチング、タッピングの3つに分類されます。それぞれの特徴や症状について詳しく見ていきましょう。
グラインディング
ギリギリと音が出る歯ぎしりで、上下の歯を強く食いしばりながら左右に動かし擦り合わせる歯ぎしりです。歯列全体を擦り合わせるため、全体がすり減ります。
歯が短くなったように感じる方もいるでしょう。強い力が加わり、歯が削れたり欠けたりするので注意が必要です。
クレンチング
上下の歯を強く噛みしめる歯ぎしりです。睡眠中だけでなく、日中にも症状が出る方が多くいます。
クレンチングはあまり音がしないため気づかれにくいですが、強い食いしばりにより歯に大きな力が加わります。そのため、気づかないうちに歯だけでなく顎にも大きな負担をかける歯ぎしりです。
歯茎の隆起、歯の根元がえぐれてくさび状になる、歯の欠損などに繋がるため注意しましょう。
タッピング
タッピングは、カチカチと小刻みに歯をならす歯ぎしりで、頻度は多くありません。グラインディングやクレンチングと比べると音や力が小さく、歯や顎へのダメージは少ないと考えられています。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりは何が原因で引き起こされるのでしょうか。以前は噛み合わせが悪いことが原因とされてきましたが、現在では歯ぎしりの原因は多岐にわたることが報告されています。
具体的な歯ぎしりの原因は、以下のとおりです。
- ストレス
- 性格
- 遺伝
- 特定の薬を服用している
- 飲酒
- 喫煙
- 中枢神経系の疾患や睡眠時呼吸障害
これらの要因が複雑に組み合わさって、睡眠時の歯ぎしりを引き起こします。最近の研究では、睡眠中に大脳の一部が興奮状態になることで歯ぎしりが引き起こされることがわかりました。
睡眠時の歯ぎしりは小児で最も多く、加齢とともに減少し大きな性差はありません。
歯ぎしりの癖によってセラミックの歯に与える影響とは?
セラミックは陶器なので、強度があり仕上がりが自然である点がメリットですが、上から落としたりぶつけたりすると簡単に破損します。歯ぎしり・食いしばりをする方は、セラミックの歯が消耗するりスクが高いといえるでしょう。
ここでは、歯ぎしりがセラミックの歯に与える影響について詳しく解説します。
詰め物・被せ物がとれやすい
強い力で歯が揺らされることで、詰め物や被せ物がとれることがあります。
接着が弱い場合や詰め物と歯の間にむし歯ができた場合、詰め物がとれる可能性が高くなりますが、それ以外の理由で頻回に詰め物がとれる場合は歯ぎしりを疑うべきでしょう。
摩擦で削れる
歯ぎしりで歯を擦り合わせると、摩擦で歯が削れて短くなり、噛み合わせが悪くなることがあります。これは天然の歯だけでなく、セラミックの歯でも起こる可能性があるでしょう。
削れたことで咬み合わせが悪くなり機能面に問題が生じた場合、セラミックの歯を取り替える必要があります。セラミックの取り替えや調節は、通院のための時間や費用がかかるため摩擦を軽減する対策を講じなければなりません。
セラミックが割れる
セラミックは硬い素材ですが、歯ぎしりや食いしばりで強い力が加わると欠けたり割れたりすることがあります。歯ぎしりは普段の生活でかかる力の何倍もの力を歯に加えるためです。
歯が欠けたり割れたりすると、食事がしにくい、口の中が傷つく、むし歯になりやすくなるといったリスクが生じます。セラミックの歯が欠けた・割れた場合はそのまま放置せず、必ず歯科を受診しましょう。
歯ぎしりからセラミックの歯を守るためには
歯ぎしりから歯を守るためには、どのような対策が必要なのでしょうか。ここでは、セラミックの歯を歯ぎしりから守るための対策を解説します。
マウスピース(ナイトガード)を装着する
夜間の歯ぎしりや食いしばりから歯を守るために、マウスピース(ナイトガード)を着用する方法があります。睡眠時に無意識に歯ぎしりをしてしまう場合、マウスピースで歯に加わる力を分散させましょう。歯を守るだけでなく、顎関節症の予防効果も期待できます。
マウスピースにはソフトタイプとハードタイプがあり、どちらを選択するかは歯科医師と相談してください。ソフトタイプのマウスピースはゴム製で柔らかく、装着したときの違和感が少ないです。歯ぎしりがひどい場合、削れて穴が空くことがあるでしょう。
ハードタイプのマウスピースは、レジンという樹脂でできているため硬く、装着したときの違和感は大きいです。削れたり穴が空いたりすることは少なく、ソフトタイプと比べて長持ちするでしょう。
市販のマウスピースもありますが、歯科で作ったマウスピースに比べてフィットしにくく違和感があることが多いです。マウスピースの寿命は使用方法にもよりますが、1年程度が目安でしょう。
マウスピースが破損していないか、歯に影響がないかを歯科クリニックで定期的に確認するようにしてください。
マッサージで筋肉をほぐす
口を開くときの筋肉が過剰に緊張していると、歯ぎしりや食いしばりに繋がることがあります。気づいたときにマッサージをすることで、筋肉のコリをほぐし、リラックス効果も期待できます。
咬筋は歯を噛みしめるときに使う筋肉で、奥歯を噛みしめた時に膨れる筋肉です。咬筋を指先で円を描くようにマッサージしてみましょう。
続いて側頭筋です。側頭筋はこめかみの部分にある筋肉で、指先でぐるぐると円を描くようにマッサージします。
力が入っていた筋肉がゆるみ、歯と歯が噛み合うことなくリラックスした状態になるでしょう。お風呂に入っているときや手が空いたタイミングで実践してみましょう。
ジルコニアを使う
ジルコニアはセラミックの一種ですが、人工ダイヤモンドとよばれるほど強度がある素材です。種類によっては金属とほぼ変わらない強度を持つものも存在します。
セラミックよりもジルコニアのほうが費用を抑えられる点もメリットでしょう。
しかし、セラミックに比べて透明感がなく、審美性が劣る点がデメリットです。前歯などの見た目に影響する歯にはセラミックを選択する方が多いですが、奥歯など見た目にほとんど影響せず強度を求めない部分には、ジルコニアを選ぶ方もいます。
ボトックスを注射する
マウスピースを使うことが難しい場合、ボトックス注射を打つことで筋肉の緊張を軽減させる方法があります。ボトックスは美容分野でシワを取る方法として知られていますが、歯科では咬筋などの筋肉に注射して筋肉の緊張を緩めるために使用されます。
効果は半年程度持続しますが、徐々に効果がなくなるため定期的に治療を行う必要があるでしょう。クリニックによって費用が異なるため注意してください。
まとめ
今回は、歯ぎしりの原因と影響、歯ぎしりからセラミックの歯を守る方法について解説しました。
歯ぎしりはストレスや喫煙など様々な要因によって引き起こされます。歯ぎしりをすぐに改善することは難しいですが、せっかく入れたセラミックの歯が欠けたり割れたりしないよう、対策することが大切です。
睡眠時の歯ぎしりは無意識のため、マウスピースで歯を守り、日中は気づいたときに筋肉をマッサージして緊張を取り除きましょう。奥歯であれば、セラミックと比べて強度の高いジルコニアを使うことも検討してください。
歯ぎしりの原因を理解し、適切な対策をとることで大切な歯を歯ぎしりから守りましょう。
セラミック治療を検討されている方は、埼玉県富士見市ふじみ野にある歯医者「榎本デンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。